規模と誠実さは比例しない。
こんにちは、才光不動産です。
金曜日は「不動産の勘違い」シリーズをお届けします。悪意のある嘘ではなく、なんとなくそう信じてきた「思い込み」を、丁寧にほぐしていこうという連載です。第一回目のテーマは「大手に頼めば安心」という考え方についてです。
不動産の売却や購入を考えるとき、多くの方が最初に大手の不動産会社を思い浮かべます。テレビCMで見たことがある、駅前に店舗がある、名前を知っている——。それだけで「安心感」を感じるのは、人間として自然な心理です。知っているものは怖くない。でもその「安心感」が、時として判断を狂わせます。
今日の勘違い:大手の不動産会社に頼めば、丁寧に対応してもらえて、高く売れて、安心できる。
現実:対応の質は「会社の規模」ではなく「担当者個人の力量と誠実さ」で決まります。
大手が持つ「本当の強み」と「本当の弱み」
大手不動産会社が持つ強みは確かにあります。全国規模の広告網、自社サイトへのアクセス数、ブランド力による買主からの信頼、豊富な取引実績。これらは否定できません。特に首都圏の高額物件や、遠方の買主を必要とする売却案件では、大手のネットワークが威力を発揮することがあります。
一方で弱みも存在します。最も大きな問題は「担当者が頻繁に変わる」ことです。大手では異動・転勤が日常的に起きます。売却活動の途中で担当者が変わり、引き継ぎが不十分なまま話が進むケースは珍しくありません。また営業ノルマを抱えた担当者が「早く成約させたい」という動機から、売主にとって最善ではない判断を促すこともあります。

「安心」の正体を分解してみる
「大手だから安心」という感覚を少し分解してみましょう。この安心感には、おそらく以下の要素が含まれています。
こうして分解すると「大手だから安心」が正当なのは①だけです。②③④は担当者個人の質に依存します。つまり「どの会社か」ではなく「誰が担当するか」が、売却結果を大きく左右するのです。
地域密着の小規模業者が持つ「見えない強み」
地域に根を張った中小の不動産業者には、大手にはない強みがあります。まず担当者が変わりません。代表自らが動くことも多く、責任の所在が明確です。また地域の相場感や、その町ならではの買主層の傾向を肌感覚で知っています。売却活動の細かなチューニングが、大手よりもスピーディーにできることが多いです。
さらに重要なのは「囲い込みをしにくい構造」です。大手は自社内で買主を見つけて両手仲介を狙う動機が強く、外部への情報流通を意図的に絞ることがあります(囲い込みについては以前の記事で詳しく書きました)。小規模業者はそもそも自社買主数が限られるため、積極的に他社へ情報を流す傾向があります。これは売主にとって大きなメリットです。

では何を基準に選べばいいのか
会社の規模ではなく、以下の点を確認することをお勧めします。担当者が地域の成約事例をデータで説明できるか。査定価格の根拠を具体的に示せるか。レインズへの登録や他社への情報提供について透明な回答をするか。そして「この人と一緒に動きたい」と思える誠実さがあるか。
最後の一点は感覚的に聞こえますが、実は最も重要です。不動産の売却は数ヶ月にわたる長い共同作業です。その間、相談しやすく、正直に情報を共有してくれる担当者かどうか。それが結果を左右する最大の要素だと、私は経験から確信しています。
「大手だから安心」ではなく「この人だから安心」と思える担当者を選んでください。その判断が、売却結果を決定的に変えます。規模は信頼の代替品にはなりません。
本日は以上です。
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