子どもが巣立った部屋に
初めて入った日。
こんにちは、才光不動産です。
住み替えの相談をしていた50代のご夫婦から、ある日こんな話を聞きました。末の子どもが大学進学で家を出た後、しばらく子ども部屋に入れなかったというのです。なぜかと聞くと「入ったら実感してしまうから」と笑いながら言いました。その笑い方の裏に、本当の気持ちがありました。
子どもが巣立った後の家は、広くなったように見えて、どこか息苦しいと感じる方がいます。部屋の数は同じでも、その部屋を埋めていた存在がなくなることで、家全体のバランスが変わるのかもしれません。

奥様は「子どもが出ていって1ヶ月くらいは、夕飯のとき席が一つ空いているのが辛くて」と話してくれました。その席を片付けることができなかった。片付けてしまうと、もう子どもがここには戻らないと認めることになる気がして。そういう感情のことを、この仕事をしていると時々聞きます。
住み替えを考え始めたのは、ある日ご主人が子ども部屋に初めて入ったことがきっかけだったそうです。教科書や学校のプリントがそのままになっていて、机の上には消しゴムのカスがまだ残っていた。それを見ていたら「この家での役割が終わったんだな」という気持ちになったとおっしゃっていました。
役割が終わったというのは、寂しい言葉のように聞こえますが、そのご主人の顔はどこかすっきりしていました。終わったことを認めることで、次のことを考え始められる。住み替えを「諦め」ではなく「次のステージへ」として捉えていたのが伝わってきました。
結局そのご夫婦は、今の家を売ってコンパクトなマンションに住み替えることにしました。「二人だけで暮らすのに合った家にしたい」という言葉が印象的でした。子育てのための家から、夫婦のための家へ。家の役割が変わることが、暮らしの次の章の始まりです。

子どもが巣立った家は、次の暮らしへの出発点です。その部屋に入る勇気が、次のステージの扉を開けます。空いた席を片付けることは、子どもを忘れることではなく、次の自分たちの時間を始めることだと思っています。
本日は以上です。
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