その家は、いつも
明かりがついていた。
こんにちは、才光不動産です。
物件の調査で住宅街を歩いていると、家々の様子が自然と目に入ります。カーテンの色、玄関先の植木、夕方になると窓から漏れる光——。その光の様子で、その家にどんな暮らしがあるかを、なんとなく感じることがあります。今日はそういう話をします。
売却の依頼を受けた物件の隣に、いつも夕方になると明かりがついている家がありました。カーテン越しにオレンジ色の光が漏れていて、その家だけ街の中で温かく見えました。

依頼物件の調査で何度かその前を通るうちに、その隣家の様子が気になるようになりました。ある日、依頼主の方に「あちらのお宅とはお付き合いがありますか」と聞くと「長年の知り合いです、おばあさんが一人で住んでいます」という答えが返ってきました。
後日、境界確認のご挨拶でその隣家を訪問することになりました。出てきたのは80代と思われる女性でした。小柄で、でも背筋がまっすぐで、玄関先でにこやかに話してくださいました。境界のことを説明すると「あら、あちらが売れるんですね」と言いました。それだけで、長年隣の家を見てきた人の視線がありました。
帰り際に「いつも夜、明かりがついていて、この辺で一番温かい家だと思っていました」と私が言うと、その方は少し驚いた様子でから「そんなこと言ってくれる人、初めてです」と笑いました。「一人だから、暗くするのが嫌で」という言葉が続きました。
その一言が、ずっと頭に残っています。一人だから暗くするのが嫌で、明かりをつけ続けている。それはその方の孤独の話でもあり、同時に「明るくいようとする意志」の話でもあります。一人でも家に明かりをともし続けることが、その方の暮らし方でした。
売却した家に新しい家族が入居した後も、隣の家にはオレンジ色の明かりが続いているはずです。街の中に、そういう定点のような温かさがある。それを知っているのは、その場所をずっと歩いてきた人間だけです。

家の明かりは、その家の暮らしを映しています。街を歩くときに窓の光を見るようになったのは、この仕事を始めてからです。どの家にも、その光の数だけの物語があります。
本日は以上です。
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