「ここでいい」と言える人が
一番豊かだと思う。
こんにちは、才光不動産です。
この仕事をしていると、住まいに対して「もっと良い場所があるはず」と探し続ける人と「ここでいい、ここがいい」と今の場所に根を張る人の、両方に出会います。どちらが幸せそうかというと、私の経験上は後者です。今日はその話をします。
「ここでいい」と言える人は、妥協しているのではありません。今いる場所に価値を見出す力を持っている人です。その力は、探し続けることでは身につかず、根を張ることで育ちます。

「もっといい場所」を探し続けることの疲弊
住まいに不満を持ち続けながら「もっといい家に引越したい」と何年も言い続けている方がいます。その不満自体は正当なことが多いです。狭い、古い、不便——。でも引越す行動には至らず、不満だけが積み重なっていく。そういう状態が続くと、家という場所が「不満の原因」として定着してしまいます。
あるいは引越しを繰り返す方もいます。新しい家に移るたびに「今度こそ」と思うのですが、しばらくすると「やっぱり違う」と感じ始める。これは家の問題ではなく「今いる場所に価値を見出す力」が育っていないことの問題であることがあります。場所が変わっても、その力がなければ同じことが繰り返されます。
「ここがいい」と思えるようになるプロセス
長くその場所に住んでいる方と話すと「最初は好きじゃなかったけど、住んでいるうちに好きになった」という言葉を聞くことがあります。気に入らない部分が最初は目についていたが、時間が経つにつれて良い面が見えてきた。近所の人と知り合いになった。気に入った店を見つけた。季節の変化を楽しめるようになった——。これらは、その場所に時間を投資したことで生まれた愛着です。
「ここがいい」という感覚は、最初から与えられるものではなく、その場所との関係を積み重ねることで育まれるものです。引越しを繰り返すことで、この積み重ねのプロセスがリセットされ続けます。一方でひとつの場所に根を張ることで、その場所への愛着が深まり、「ここがいい」という感覚が育っていきます。
「ここでいい」の覚悟が暮らしを豊かにする
「ここでいい」という言葉には、二つの意味があります。ひとつは消極的な妥協。もうひとつは積極的な選択です。消極的な「ここでいい」は、不満を押し殺した状態です。積極的な「ここでいい」は、この場所の価値を認めた上での宣言です。この二つはまったく違います。
私が「ここでいいと言える人が豊かだ」と思うのは、後者の意味です。完璧ではない場所でも、その場所に価値を見出して「ここを自分の場所にする」と決めた人は、その決断の後から暮らしが豊かになっていきます。完璧な場所を探し続けることをやめて、今いる場所との関係を深めることを選んだとき、住まいは「探しているもの」から「育てていくもの」に変わります。
不動産の仕事をしていると「もっといい物件を」という要望に応えることが多いです。それは大切な仕事です。でもときどき「今の家を少し違う目で見てみましょう」と伝えたくなることがあります。探し続けることより、今いる場所に根を張ることが、豊かな暮らしへの近道であることが多いからです。

「ここでいい」と言える力は、妥協する力ではなく、今いる場所に価値を見出す力です。その力を持てた人が、住まいという問いに対して一番豊かな答えを持っていると思っています。
本日は以上です。
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