世界は「思っているより良い」のに
なぜ私たちはそれを信じられないのか。
こんにちは、才光不動産です。
今日紹介するのは「ファクトフルネス」(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著)です。世界的なベストセラーで、ビル・ゲイツが全米の大学卒業生に無料配布したことでも話題になりました。
読む前は「統計の話かな」と思っていました。実際は違います。これは「人間の思い込みがいかに体系的に間違っているか」を解剖した本です。読み終えたとき、自分の情報の受け取り方が根本的に変わりました。
この本が伝える核心:
私たちの世界認識は「ドラマチックすぎる本能」によって常に歪められている。事実を事実として見るためのスキル、それが「ファクトフルネス(事実に基づく考え方)」だ。
「世界は悪化している」という思い込みは正しいか
本書の冒頭で13問のクイズが出されます。「世界の極度の貧困は過去20年でどう変わったか」「世界で1歳未満の子どもが予防接種を受けている割合は何%か」などの問いです。選択肢は3択。チンパンジーがランダムに答えれば33%は正解するはずです。
世界各国の大学教授、医師、政治家、ビジネスマンを対象にテストした結果、平均正解率は16%でした。チンパンジー以下の成績です。つまり人間は「悪い方向に」体系的に間違えている。なぜかというと、私たちの脳は進化の過程で「悲観的なニュースに敏感に反応する」ように設計されているからです。

10の「ドラマチックな本能」とは何か
本書は人間が事実を歪めて認識してしまう思考パターンを10種類挙げています。いくつか紹介します。
「先進国と途上国」「富裕層と貧困層」のように世界を二分割して考える本能。実際には大多数の人がその「中間」にいます。「金持ち」と「貧乏」の間には膨大なグラデーションがある。
悪いニュースのほうが良いニュースより目立つため「世界は悪くなっている」と感じやすい本能。実際には乳幼児死亡率、貧困率、識字率、平均寿命のほぼすべてが過去50年で劇的に改善されています。
危険を過大評価する本能。テロによる死者数と交通事故による死者数を比べると、恐れるべき対象がどちらかは明白です。しかし私たちはテロを過剰に恐れ、車には乗り続けます。
グラフが直線的に伸び続けると思い込む本能。人口も、物価も、技術も、直線では動きません。S字カーブ、指数関数、ピークアウト。現実のデータは多様な形を取ります。
不動産市場と「ファクトフルネス」
この本を読んで、不動産業界の情報環境について考えずにはいられませんでした。「不動産価格はこれから下がる」「空き家問題で地方は終わり」「人口減少で不動産は資産にならない」。こうした言説がメディアに溢れています。
しかしデータを見ると、札幌の中心部の地価は近年上昇が続いています。人口減少が進む中でも、人が集まるエリアと集まらないエリアの二極化が起きているのが実態です。「不動産は終わり」でも「不動産は永遠に上がる」でもない。データを正確に読んだ人だけが正しい判断をできます。

「事実に基づいて考える」ことが最大の武器
著者のハンス・ロスリングは本書の執筆中に亡くなりました。医師として世界中の現場を見てきた彼が最後に残したメッセージは「世界は確かに問題を抱えているが、あなたが思っているより良くなっている。そしてこれからも良くなり続ける。ただしそれは、データと事実に基づいて行動する人々がいる限りにおいて」というものです。
不動産の仕事も、最終的にはデータと誠実さです。感情的な言説や煽りに乗らず、数字と事実を根拠にお客様と向き合う。それが才光不動産の姿勢です。この本はその確信をさらに強めてくれました。
「ファクトフルネス」
著:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド
訳:上杉周作・関美和 日経BP
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