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自殺物件(前編)

自殺物件の売買

今回は稀なケースですが、その物件内で過去に
自殺した事実を売主が知らずに買主に販売し
後に買主が過去の自殺の事実を知った場合に
無過失の売主に責任を問えるか?
といった事案について解説いたします。

無過失責任

売買の目的物に隠れた瑕疵があった時は
売主は買主に対して瑕疵担保責任を負います。

自殺物件で問題となるのは「心理的瑕疵」の有無
でありその物件を使用するに当たり心理的嫌悪感が
あると認められる場合には契約の解除や売主に
対して損害賠償請求をすることができます。

瑕疵担保責任は無過失責任とされているので
売主が自殺の事実を知らなかったことに
過失がなくても責任を負います。

心理的瑕疵

自殺物件で「心理的瑕疵」が認められるのは具体的に
どのような場合なのかを解説します。

「心理的瑕疵」とは対象物件自体や周辺環境に
問題はないがその目的物を使用するに当たり
心理的嫌悪感を感じることに合理性があると
判断される程度に達している場合に認められます。

合理性の判断には次のような要素が考慮されます。

自殺の場所

自殺した場所がとりわけ居住空間に近ければ
近いほどそれ以外の部分で発生したよりも
心理的嫌悪感の度合いが大きくなり
瑕疵を肯定する要素になります。

建物取り壊しの有無

自殺があった建物を取壊した場合は
通常一般人が感じる心理的嫌悪感の度合いは
小さくなり瑕疵を否定する要素になります。

自殺からの期間の経過

当然、自殺から期間が経過していれば
しているほど心理的嫌悪感の度合いは
小さくなります。

売買契約締結の2年前に自殺があった
事案で瑕疵を否定した判例があります。

建物の使用目的

店舗・事務所などとして使用するよりも
居住用として使用する場合は心理的嫌悪感が
大きくなり瑕疵を肯定する要素になります。

地域性

自殺の情報が広がりにくく入居者の入れ替わり
が激しい地域と一度知れ渡ると地域住民の記憶に
残存し続ける可能性が高い地域とで
心理的瑕疵の度合いは変わります。

今回はこれで終了します。
後編はこちら

本日は以上です。

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