“安い物件にはドラマがある”シリーズ
家の前に vol.1
— 才光不動産が本音で解説
こんにちは、才光不動産です。
中古住宅や「ちょっと訳ありかな?」という物件には、値段では測れない“人の物語”が隠れていることがあります。
今回は、ある「離婚」と「再出発」が重なった一軒の家について、
匿名・抽象的な形で人間ドキュメンタリーとしてお届けいたします。
このシリーズ【この家の前に】は、“安い物件にはドラマがある”をテーマに
物件の裏側にある、人の人生の一場面を描いていく読み物です。
夫婦が最後に暮らした、少し古い3LDK
雪の残るある日、一本のお電話をいただきました。
受け答えの丁寧さとは裏腹に、声のトーンにはどこか張りつめた気配がありました。
「実は……離婚することになりまして」
そう切り出したのは、30代後半の女性でした。
札幌市内の静かな住宅街に建つ、築30年ほどの3LDKの戸建て。
子ども部屋にはまだ、身長を記録した線が柱に残っているような家でした。

「この家を見ると、いい思い出も悪い思い出も全部、いっしょに押し寄せてきてしまうんです」
そうおっしゃったときの、少しだけ震えた声を、今でもはっきり覚えています。
けれど、その表情には、どこか前を向こうとする強さもありました。
「子どもと一緒に、少し小さくてもいいから、新しい場所でやり直したいんです」
その一言で、この家の“前にあった時間”が、何となく伝わってきました。
「ここに残る」のではなく、「手放す」と決めた理由
離婚後もどちらかがその家に住み続ける、という選択肢ももちろんあります。
しかし彼女は、はっきりとこうおっしゃいました。
「思い出が悪いわけじゃないんです。でも、この家を見るたびに“前の生活”のことを思い出してしまって……」
「だからこそ、一度手放して、子どもと一緒に“新しい家”の記憶を作りたいんです」
家というのは、単なる箱ではなく、
そこで過ごした嬉しさ・悔しさ・さみしさがすべて染み込んでいく場所でもあります。
だからこそ、「売る」「壊す」という選択は、“過去との距離の取り方”でもあるのだと思います。
才光不動産として意識したのは、その気持ちに寄り添いつつ、
金額・スケジュール・次の住まい探しを冷静に整理することでした。
「中古でもいいから、子ども部屋を」買い手側のドラマ
この家には、ほどなくして一組のご家族が内見にいらっしゃいました。
共働きのご夫婦と、小学校低学年のお子さんが二人。
第一印象は、「派手さはないけれど、ちゃんと暮らしてきた家ですね」というもの。
キッチンの前で、奥様がぽつりと漏らしました。
「今の賃貸だと、どうしても子ども部屋を分けてあげられなくて……」
「新築は手が届かないけれど、“子ども部屋がある家”なら、中古でも十分すぎるくらいです」
その言葉を聞いたとき、
“手放したい”と願っていた家が、誰かにとっては「ずっと欲しかったもの」になる瞬間を、
目の前で見ているような感覚になりました。
鍵を渡す手と受け取る手

決済・お引き渡しの日。
売主様と買主様が、テーブルを挟んで静かに座っていました。
手続き自体は淡々と進みますが、最後の「鍵の受け渡し」だけは、いつも空気が変わります。
「今までありがとうございました」
売主様がそう言って鍵を差し出し、買主様が深く頭を下げて受け取る。
その一瞬に、“それぞれのこれまで”と“これから”が重なります。
売主様は、少しだけ目を潤ませながらも、最後は穏やかな表情でした。
「これで前を向けます」と小さくこぼしたその一言に、
この家が持っていた役目のひとつが、静かに終わったのだと感じました。
まとめ:“安い物件にはドラマがある”という視点
今回ご紹介した家は、いわゆる「新築そっくり」のピカピカ物件ではありませんでした。
しかし、
- 離婚という節目を迎えた方の「前を向くための売却」
- 子ども部屋をつくってあげたいご家族の「背伸びしすぎない購入」
そんな二つの人生の交差点として、この家は確かに存在していました。
中古住宅や、相場より少し安い物件には、
「誰かの決断」「誰かの想い」が、見えない背景として存在していることが多いです。
才光不動産では、そうした物語も含めて、できる限り正直にお伝えしたいと考えています。
「この家の前に何があったのか?」
そうした視点で物件を見ると、家探しは少しだけ豊かなものになります。
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